瀬戸内海式気候に恵まれ、年間を通じて温暖で雨が少ない兵庫県南部エリア。
しかし、だからこそこの地域には、古くから農業を支えてきた多くの「ため池」や「貯水池」が存在します。
近年、これらの土地が埋め立てられ、新しい分譲住宅地として売り出されるケースが増えています。
「これからマイホームを建てよう」と土地を探している方にとって、元が水場だった土地は「地盤は大丈夫?」「大雨の時は浸水しない?」と不安になるのは当然のことです。
一方で、その地域に先祖代々暮らしている地元の先輩方は、驚くほど平然と、そして快適に暮らしているように見えませんか?
実は、長く住まわれている方々は、ただ何も気にしていないわけではありません。
その地域の気候風土のクセを知り、
「先人の知恵」を暮らしに取り入れて対策しているからこそ、安心して暮らせているのです。
この記事では、不安を煽るのではなく、検討している土地が「あなたのご家族が長く安心して暮らす場所にふさわしいか」を冷静に見極めるための、気づきとチェックポイントを解説します。
昔からある地元の家々をよく観察してみると、水害や地盤のリスクに対して、以下のような自然な対策(知恵)が施されていることに気づかされます。
「盛土(もりど)」による敷地の底上げ
周囲の道路よりも一段高く土を盛り、その上に家を建てることで、万が一の冠水時にも床上・床下浸水を防ぐ工夫です。
「高基礎(たかぎそ)」の採用
建物の基礎部分を通常よりも高く設計し、湿気対策と住宅の耐久性向上、そして浸水対策を同時に行っています。
雨が少ないエリアとはいえ、近年のゲリラ豪雨や大型台風は予測を超えてきます。
先人たちは「めったに降らないから大丈夫」ではなく、
「もしもの時のために、あらかじめ備えて建てる」という高い意識を持っていたのです。
埋め立て地だからといって、一概に「ダメな土地」というわけではありません。
大切なのは、リスクを正しく把握し、適切な対策が取られている(あるいは取れる)かを確認すること。
以下の5つの項目を、ご家族で一つずつチェックしてみましょう。
元がため池などの場合、最も重要なのは「地盤」です。
チェック点
どのような地盤調査(スクリューウエイト貫入試験など)が行われ、どんな地盤改良工事(柱状改良や鋼管杭など)が施工されたか、または施工予定かを不動産会社に確認しましょう。
しっかりとした杭が強固な支持層まで届いていれば、過度な心配は不要です。
早合点しないように書き添えると、分譲会社が地盤調査しない、と建築予定の建物の間取りが決まっていないから調査していない、は全く異なる企業姿勢なので勘違いしないでください。
自治体が発行しているハザードマップ(洪水・内水・高潮など)を必ず確認します。
チェック点
検討している土地に色がついてる(浸水想定エリア)かどうか。
もし色がついていても、周辺の避難所へのルートが安全に確保されているかを確認してください。
雨が降った際、水は高いところから低いところへ流れます。
チェック点
晴れた日だけでなく、できれば雨の日に現地を見てみましょう。
道路に水が溜まりやすい場所はないか、側溝や雨水桝の排水能力は十分そうか、周囲の土地より極端に低くなっていないかを五感で確かめてください。
「素人に判断できるか⁉」 と思われたあなた、ご自身が検討中の土地に、水が大量に流れ込んでいるか否かは、目視できるのではないでしょうか⁇
国土地理院のウェブサイトなどで、過去の航空写真や地図を確認することができます。
チェック点
その土地がいつ頃まで池だったのか、埋め立てられてから何年が経過しているのかを確認します。
埋め立てから十分な年月が経ち、土地が落ち着いているかどうかも一つの目安になります。
もしその土地を気に入った場合、先人の知恵(対策)を予算内に組み込めるかが鍵になります。
チェック点
基礎を高くする「高基礎」や、敷地全体を高くする「盛土」、あるいはしっかりとした「外構・排水計画」を追加するための建築費用を、あらかじめ予算組みできるかシミュレーションしておきましょう。
「ため池の埋め立て地だから」という理由だけで、理想のエリアや利便性の高い土地を諦めてしまうのはもったいないことです。
大切なのは、「見えないリスクを、見える化すること」。
先祖代々その土地に住む方々が実践してきたように、土地の性質を理解し、家づくりの段階で「高基礎」や「適切な地盤改良」などの対策を施せば、そこはご家族にとって「守られた安心の住まい」になります。
これから何十年と紡いでいくご家族の暮らし。
不安を解消するためのデータや対策をハウスメーカーや信頼できる不動産のプロと一緒に一つずつ紐解き、「ここなら大丈夫」と思える納得の選択をしてくださいね。